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ぼくと電子工作(大学)

大学では化学を専攻することにした。というのは中学校の時ぼくは化学少年になってしまい、あとで書くが家で実験をやり始めたりして、電子工作→電子工学科に進学という願望は限りなく小さくなってしまった。それでもアメリカの大学を選んだのは専攻を途中で変えられるというのがひとつの理由で、最後まで化学か電子工学かどちらかにしようと思っていた。しかし大学1年生の時キャンパスを歩いていて、ふと

「電子工作は趣味にして、化学を仕事にしよう」

と過去に思ったことを思い出したのだった。おそらく高校の時だったと思うが、物理で電子回路をやった時になんだか難しくて嫌になってしまったのと、化学の方がおもしろいというのがあってそう思ったのだと思う。それを思い出したのだった。そんなものだから電子工作をやりたいという願望はわいてこなくなり、土地柄秋葉原のようなパーツ屋もなかったのでそもそも電子工作用のパーツやキットが手に入らなかった。街中にはRadioshackという店があってラックの引き出しにトグルスイッチやリレーや抵抗など売っているには売っていたのだが、買ってどうこうしようという気は起きなかった。

日本には年に2回ほど帰国しており、その度に東京近辺で色々見たり食べたりして回るのだが、秋葉原に行くこともあった。そこでパーツ屋にちょっと足を運んだりしてランプ付きのスイッチなどを眺めていると、昔を思い出して

「また何か作るか」

という気持ちも不思議とわいてくるのだった。でも特に作りたいものがなかった。でも目の前のオムロンのランプ付き押しボタンはかっこいいので何かに使いたい。

「そうだ、制御盤つくろう」


ぼくはなぜか電力制御盤みたいなものが好きで、あんなごついものが自分の部屋にあったら楽しいだろうなぁと思っていた。そこでランプ付き押しボタンや鍵スイッチなどを使い、ちょっとした自分専用の制御盤を作ろうと思って必要なパーツを買った。スイッチのカバーはセットかと思ったら実は別売りだった。このカバーはバネ式になっていて、それを持ち上げないとボタンを押せないセーフティー機構のようなものだった。そういう類のものが好きだった。

パーツを買ってアメリカに戻ったぼくは、制御盤を作るのにふさわしい金属のボックスを探したがなかなかなかった。もしあったとしてもドリル加工しなければならないので多少の面倒臭さはある。そこでWalmartに売っているプラスチックボックスを使うことにした。これなら穴あけはたやすい。すぐに買った。

ものは揃ったが、では何を制御するのか。当時ぼくはキャンパス内の寮に住んでいてネットをやりすぎて勉強がおろそかになることがあり、これはまずいと思ってルーターの電源を制御しようと思ったのだった。特筆することはなにもない。100Vのラインを鍵スイッチとランプ付き押しボタンスイッチでOn/Offするだけである。ランプ用の12VだったかはACアダプタから取った。これで鍵を回して押しボタンを一度押さないとルーターに電源が入らずネットができない。ネットをしすぎたと思えばボタンを押せばネットが切れる。それなりの効果はあった。

ただこれだけではつまらないのでリビングに置いていたアンサリングマシーン(電話に出られない時に留守番メッセージを再生し、電話をかけてきた相手が留守録を残せる機械。壁のモジュラージャックと電話の間に接続する)の留守録On/Offのスイッチ部分から配線を自分の部屋まで伸ばしてきて、制御盤からOn/Offをできるようにした。当時住んでいた寮はアパートスタイルの寮で、リビングにキッチン、それにベッドルームが2つあり、ぼくはアメリカ人のルームメイトと2人で住んでいたのだった。

どうしてこの機能が必要だったかというと、ぼくはひきこもりではないけれども自分の時間をしっかり取りたい人間で、電話に出たくないときは徹底的に出たくなかったからだ。部屋にも電話回線は自分で引っ張ってきてあって、Caller ID(かけてきた相手の番号)が表示されるワイヤレス電話があり、誰がかけてきたのかは分かる。でも出たくない時があるので自分の部屋の制御盤のスイッチを押すとリビングのアンサリングマシーンがOnになり、それから何度か電話が鳴ると機械が

"Please leave a message after the tone."(トーンの後にメッセージを録音してください)

とか言ってくれる訳である。これでぼくは電話に出なくて済み、かけてきた相手は留守録を残す。わざわざリビングにアンサリングマシーンを置いていたのはルームメイトとシェアしているからだった。そんなこんなで制御盤からはルーターの電源とアンサリングマシーンのOn/Offを制御し、あとは部屋に追加でつけたガレージに設置するような蛍光灯ユニットをOn/Offさせただけだった。安い割には明るかったのである。部屋に遊びにきた友人がこの制御盤を見つけ、変に関心していたが実際はどう思っていたのだろうか。

上記の制御盤が電子工作になるかどうかはさておき、ほかにやった電子工作といえば、赤外線ユニットとリレー回路のキットをアルミボックスに入れて爆弾の起爆装置に見えるように仕立て上げたものをおもちゃとして使っていたことがある。これは高校を卒業して大学に入るまでに作ったものだった。でも寮でいじっていたら壊れてしまったし、テロの影響もあるので物騒だということでそのあとどこかへやってしまった。

ルームメイトが黒人のアメリカ人になったことがあり、非常に手癖が悪くてぼくの部屋にまで入ってきてものを使ったり汚したりするから、電子工作のキットで接点が接触するとカウントアップするものを秋葉原でゲットし、ドアにリミットスイッチを付けて彼が何回入ってきたかカウントしたこともあった。それが友人達に知られると、そんな装置を付けることを同居人に決意させるほどひどいルームメイトなのか、という噂が広まってしまった。

そのほかにはTimer ICの555を使ってJack-o'-lanternの中に仕込んだ使い捨てカメラのフラッシュユニットをリレーで定期的に光らせるということをやった。フラッシュユニットは常時給電しておき、リレーでトリガーをひいてやってフラッシュさせるというしかけだ。Jack-o'-lanternとはハロウィーンの時にカボチャを彫って中にろうそくを入るもので、無理矢理カタカナにすれれば「ジャッカランタン」であり「ジャックオーランタン」ではないことに注意したい。

この時は物理の授業も取り終わっていたから、Timer ICのデータシートを見て5秒おきに一瞬だけリレーをOnにする為に必要な抵抗値とコンデンサの容量を計算して、Radioshackで売っているパーツで一番近い値になるように組み合わせて買ってきて作った。この時ダイオードを1本買い忘れ、買いに戻るのも面倒だから前に書いたアンサリングマシーンがもう使わなくなっていたのでその基盤から1本外して付けた。そしてできあがったAutomatically flashing Jack-o'-lantern(自動でフラッシュするお化けカボチャ)を家の外に置き遠くから期待しながら眺めてみたが、一瞬かぼちゃがピカッと光るだけで何がなんだか分からなかった。

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