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化学の思い出4(中学)

実験器具と酸素ボンベを買う


家にある薬品と言えばエタノールと水酸化ナトリウム。器具はアルコールランプのみだった。これだけではとてもじゃないが実験と言えるレベルのことはできない。なのでぼくは中学校の理科の先生を捕まえて

「ビーカーとかフラスコとか色々買いたいんですが、どこで売ってるんですか?」

と聞いた。先生はぼくが言ったら引かない子供だと知っていたので、学校が実験器具や試薬を発注する業者を教えてくれたのである。ぼくはその週の週末に電車で2駅のその店に向かった。

そこは文房具店のようになっていて、ちょっとおかしいなと思ったのだが店のおばあちゃんが分厚いカタログを奥から持ってきた。そこにはビーカーどころではない、ありとあらゆる実験器具が載っていた。ぼくは興奮した。しかし何でも好きな好きなものを好きなだけ買うわけにはいかない。お金と相談だからだ。ぼくは

・試験管
・三角フラスコ
・ビーカー
・酸素ボンベ

を買うことにした。
欲しいものの型番と数量を紙に書いておばあちゃんに渡す。それでその日は終わりだった。

しばらく経ってその店から物が届いたから取りに来てほしいという連絡があった。またその文房具屋に行ってみるとこっちじゃないという。聞くと通りの奥に会社があるのだという。そうだったのか。ぼくは店の名前が同じ文房具屋に来ていたのだった。でも同じ会社だったのだ。

通りの奥には倉庫のような建物が建っていた。インターフォンを押すと中から人がでてきて

「君がこれ注文したのね。はいどうぞ」

と言って注文の品を受け取り、代金を払った。ぼくはとても嬉しかった。家で包を開いてこれが自分専用の実験器具なんだと心が踊った。嬉しすぎて家でご飯を食べるときは三角フラスコやビーカーで飲み物を飲むようになった。親は何も言わなかった。

ちなみに高校を出てからぼくは誘われてこの業者で短期のバイトをすることになる。人の縁とは分からないものである。


三角フラスコで水素の風船を作る


今度はビール瓶を使う必要がない。ぼくは三角フラスコを使って特段濃い水酸化ナトリウム水溶液を作り、1円玉をその中に大量に放り込んだ。三角フラスコの口は広いので1円玉は楽に入る。そして風船をとりつけた。ほどなく反応が始まる。ところが水酸化ナトリウム水溶液が濃すぎたのか、中で沸騰が始まってしまった。風船がどんどん膨らんでくる。

「これもしかしてやばいんじゃないかな」

ボコボコ沸騰している灰色の液体の上で赤い風船がどんどんでかくなる。ぼくは怖くなって風船を外そうとした。外した瞬間、限界濃度の水酸化ナトリウム水溶液の湯気で指が熱くて三角フラスコを倒してしまった。でも庭でやっているのでさほど問題にはならなかった。風船の口を縛って手を離すと風船はふんわり浮かんだ。しかし時間が立つと中に水が溜まってきてしまったのが見えた。

これは反応で沸騰した水が水蒸気になって風船の中に移動し、そこで凝結して液体の水に戻ったものだと思われた。

「うーん、これはやっぱり濃硫酸を通さないとだめだな」

ぼくはそう思った。濃硫酸に水を吸わせて脱水させるわけだ。今は濃硫酸はないので、この後は前の時と同じようにアルコールランプの火で水素の風船に火を付けたのだった。


水素と酸素の混合気体を爆発させる


業者から酸素のボンベを買ったから、水素の風船を作ったあと酸素を入れてやればようやく爆発させられると思った。ぼくは前回の実験で水酸化ナトリウム溶液が沸騰してしまったので今回はそれほど濃すぎないものでやることにし、大きさも手頃にして水素の風船を作った。そこにボンベ、とはいっても500mlぐらいの小さなものだったが、から酸素を付属のストローを使って風船の中に入れた。

理想的には水素:酸素=2:1がよい。しかし酸素を入れていった時の膨らみがよく分からなかったので適当にした。そして同じようにセットアップをし、風船が飛ばないようにおもりをつけ、ひもをゆるめてアルコールランプの炎に近づけていった。すると次の瞬間

ドーーーーン

という轟音とともに風船が爆発した。成功だった。いわゆる水素爆鳴気というやつである。これを何度か庭でやっていたのだが、親には何も言われなかった。

しかし何回目だったか、隣の家のオヤジが

「何やってんだーーー!」

とぼくの家の前で大声で怒鳴っているのが聞こえた。親には怒られずに隣の家のオヤジに怒られたのである。


濃硫酸で発生した水素を脱水する実験を却下される


ぼくはカラッと乾燥した水素で風船を作って飛ばしたかったが、今のやり方だと湿った水素になる。水酸化ナトリウムとアルミニウムの反応熱で水が気化して水素と一緒に風船の中に入ってしまうからだ。そうすると重量が重くなって勢い良く飛んでいかない。

ぼくが学校の化学クラブで、濃硫酸で水素を脱水する機構を組み込んだ水素発生機をスケッチしてこれがやりたいと理科教師に何度も申し出たのだがだめだった。今だったらバッテリーの希硫酸を煮詰めればできるという知識があるが、当時はなかったのでぼくは高校の入学祝いに濃硫酸を買ってもらうことにして親に頼むといいよと言われた。しかし志望校を一つ下げたのでぼくは自ら

「塩酸でいい」


と言って一番憧れていた濃硫酸は自粛したのだった。


塩酸を作る実験を却下される


図書館で塩酸を作る方法を調べて化学クラブでこれがやりたいと申し出た。しかし顧問の先生は

「塩水の電気分解をすれば?」

と言う。ぼくは

「それだと次亜塩素酸はできるけど塩化水素はできないんですよ」

と言うと先生は逃げてしまった。


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