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ぼくと電子工作(高校)

高校に入るとぱったり勉強をしなくなったぼくは定期的に何かに打ち込んでそれが終わるとまた別のものにはまる、というスタイルで好きなことをやるようになった。その中で一番長くてお金もかかったものが「自分の部屋を宇宙船のようにしよう」というプロジェクトだった。

ぼくとピアノ(高校)に書いたようにぼくの部屋は畳からフローリングになったが、壁と天井は和室のままだったのでそれを全部自分で洋室に変えた。まずは京壁を削り落とす。買ってきた壁紙に壁紙用ボンドを付けて折り畳んで袋に入れてねかせる。それを壁に張り付け、ローラーで抑え、余分な部分をカッターで切り落とす。壁紙と壁紙のつなぎ目は壁紙が重なった部分をカッターで切って両端をぴったりあわせる。コンシーラーを付ければまったく分からなくなる。これは壁紙屋がやっているのを見て覚えた。天井の方は石膏ボードのジプトーンを長いねじで天井に直づけしていく。上向きの作業で大変なので電動ドライバが重宝した。照明も吊るす傘タイプのものを天井直づけのものに変更し、コンセントやスイッチは新築の家のような新しいタイプのものにすべて交換し、必要な部分にコンセントを増設した。なおリフォームに必要なものは親にホームセンターに車で連れて行ってもらい、ほとんどを自分のお金で買った。バイトしていたから金はあったのだ。しかし電気工事などをする資格はもっていなかった。父も資格はなかったが電気工事や水道工事を休みの時に自分でやってしまう人だったので、見ていてぼくもいろいろできるようになったのだった。ただし、一度ブレーカーを落とさずに屋根裏の配線をペンチで切ってしまい、火花が飛んでブレーカーが落ちたことがあった。

このリフォームを自分でやって洋室にした上で、いかに宇宙船に近づけるかということがポイントになった。まずは回転灯である。その色は好きな映画(エイリアン2)では青だったのだが秋葉原の店で黄色を買ってしまい、まあそれもなかなかよかったので天井工事をしている最中に付けた。配線は屋根裏を通した。




次に電子ロックを付けようと思い、でもドアが引き戸で、本当はそんなドアは取っ払って電動シャッターみたいなものを付けたかったのだがそれだと大掛かりでお金もかかりすぎるので、その引き戸のドアが開かないようにソレノイドでロックする機構を取り付けた。リレー回路を使い、Openボタンを押すとソレノイドが通電されて解錠、Closeボタンを押すと通電が切れてソレノイドの芯が落ちてきてロックされるというもの。でもドアが閉まっていないと芯が床に落ちてしまうという欠陥があったが気にしなかった。

このリレー回路だが、回路を理解していなかったので、どことどこを接触させるとリレーがOn/Offするというのを手探りで探し出すというどうしようもないものだったがちゃんと機能した。さらにOpenボタンを押して解錠されるだけだと親が入ってきてしまうので、カードキーと暗証番号を組み合わせることにした。これは両方キットとして秋葉原に売っていたのでそれらを使った。カードキーのキットは穴の開いたカードを光学的に読み取ってリレーを一定時間Onにするというもので、これに暗証番号を入れると一定時間リレーがOnになるキットを組み合わせた。さらにこれらに電源を供給する部分に鍵式のスイッチをつけ、3段認証とした。

つまり、

  1. 鍵を入れて回して認証システムの電源を入れる
  2. カードをカードリーダーに通す
  3. 暗証番号を入力する

以上の操作を行うとソレノイドが通電してロックが解除されるという仕掛けだ。さらに電子錠の状態を視覚的に認識できるように、ドア上部に赤と緑の表示灯を付けた。施錠中は赤、解錠中は緑である。

カードリーダーやキーパッドがあるメイン部分とドア上部の表示灯は壁に電動ドライバで直づけした。屋内配線はどうやってやったかというと、壁は1枚ではなく2枚で中間が空洞の作りをしていたので、機器設置部分の壁に開けた穴から配線用のケーブルを付けた強力磁石を少し空洞部分に入れておき、屋根裏に上ってその空洞部分に強力磁石をつけた糸をたらしていき、しばらくして磁石どうしがカチンとくっついたら糸を引けば配線用ケーブルを屋根裏までもってくることができた。そうやってソレノイドやカードリーダー、電源を接続した。

電子ロックの認証システムはこれでできたが、回転灯は何に使ったかというと、デジタル時計のCMOS出力をリレー回路に入れてやって、目覚ましとして使うことにした。ただし回転灯だけが回っているだけでは起きられないので、100Vの非常ベルをつけた。これらはメインの制御盤からトグルスイッチでそれぞれon/offを制御できるようにした。つまり目覚ましとして回転灯だけ、非常ベルだけ、両方を使う、両方を使わない、というのが好きに選択できるようにしたのだ。ちなみに制御盤は千石電商で買ったタカチのアルミボックスを使い、ドリルで穴を開けてトグルスイッチや押しボタンスイッチ、鍵スイッチなどを配置した。

以上でとりあえずはぼくの思い描いている宇宙船のイメージの部屋になった。朝、緊急事態が発生して回転灯が回り非常ベルが鳴るという設定である。そして部屋の外からは施錠中の赤ランプが見える。ちなみに部屋の中から解錠する際はボタンひとつでできた。そして施錠は一定時間後に自動でするようにしておいた。解錠の認証作業は部屋の外にいる時だけ必要なのだ。これがやっかいに感じるときもあって、というのは一定時間後に自動施錠だから、夜中にトイレに起きて部屋に戻ってくると既に施錠されているから3段階認証をやらないと部屋に入れないのだ。

さらにバカバカしいのが、カードキーを部屋の中に忘れて閉め出されてしまった時のことである。とは言っても2枚の引き戸のうち1枚がソレノイドで施錠されるのであって、片方は画びょうで止めて開かないようにしているだけである。だからこの画びょうを外していったん部屋の中に入り、カードではなく工具を持って部屋の外に出る。そしてドア上部の表示灯ユニットを開けて、ランプの配線を引っ張り出す。そして今光っている赤のランプにつながっている線を緑のランプの配線に直結してやるとソレノイドにも通電し、めでたく解錠されて部屋の中に入れた。ソレノイドもランプも同じ24V規格のものを使い並列に接続していたからできたのだった。ぼくはこの映画のワンシーンの電子ロックのオーバーライドみたいなものがやりたかっただけなのである。だからわざわざ部屋の中に戻って工具を取ってきたというわけだ。これをやったのは1回だけだったが。

回転灯&非常ベルの自作目覚ましについては2つエピソードがある。ひとつはぼくは風呂で寝てしまう癖があり、ひどいと朝まで寝てしまうのだが、この非常ベルの音で目が覚めた。音がでかすぎて風呂まで聞こえるのだ。でも風呂から飛び出て部屋の前まで行って認証作業をやって部屋に入って非常ベルを止めるという作業が面倒で、

「そうだ、ブレーカーを落としちゃおう」

と思い、風呂から出て洗面所にあるブレーカーを落としたのだった。ところが非常ベルが鳴り止まない。そんなはずはない。デジタルクロックの電源も、目覚ましのCMOS出力も、リレー回路も、非常ベルの給電もすべてOffになるはずなのだ。何度ブレーカーを切ってもダメ、最後にアンペアブレーカーも切ってもだめ。これはどう考えてもおかしい。

と思ったらそれは風呂で見た夢であった。どうりで鳴り止まないわけだ。外では非常ベルが鳴っている。ぼくは風呂から出て洗面所のブレーカーを落とし、非常ベルが鳴らなくなったのを確認してブレーカーを戻してまた風呂に戻って寝てしまった。

もうひとつのエピソードは、この非常ベルと回転灯の目覚ましは部屋で寝ている時は作動すると必ず起きられたのだが、何度も使っているうちに父親から

「非常ベルは会社で火事が起きたのかと思ってびっくりするからやめろ!」

と言われてしまった。それまでぼくが家の壁にドリルで穴をあけたり、変なカードリーダーが壁に増えたりドアの上部に緑だか赤だかのランプが付いても何一つ文句を言わなかった父が、初めて非常ベルはやめろというのでぼくは言うことを聞いた。自分で頑張って借金もしないで30歳までに土地を買って家まで建てたとお酒を飲んだ時たまに自慢していたから、その家に許可もなく勝手にドリルで穴を開けて、それでも何も言わなかった父にぼくは申し訳ないと思ったのである。

しかしそれはそれで、今度はドアを自動ドアにしたくなり、家の換気扇を1台つぶしてモーターを取った。引き戸だから簡単に自動ドアにできると思ったのだ。モーターの回転でドアにつけたひもを引っぱるようにし、リレー回路で数秒だけモーターを回してドアを開ける、というしかけだった。しかしこれだと開くだけで閉まらない。ぼくは単純に考えて

「閉める用のモーターもつけよう!」

と思い、もう1台換気扇をつぶした。それでドアが開ききったのをリミットスイッチで検出し、閉める側のモーターをリレーで制御して一応自動ドアができた。しかしエラーで開いたり閉まったりを繰り返したり、何度も実験しているうちにモーターの軸がずれてモーターが壊れてしまった。モーターの軸にひもが巻き付くというだけのどうしようもない機械構造だったのである。そんなこんなで自動ドアはあきらめた。

この時も父親は家の換気扇が2台、羽もモーターもなくなっているのに何も言わなかった。

あとこれは電子工作ではないが、パソコンを自分の部屋に置きたいと思い、屋根裏で電話回線をぶった切って自分の部屋に引き込み、ぼくの机の隣にモデムを設置した。モデムから出ている電話用の線はぼくの部屋のモジュラージャックに差し込んだ。こうすることで切れた先の配線が通電して家のほかの電話が今まで通り使えるという算段だ。これは親に内緒でやってしまった。

あとは火災が発生したという音声が入っているROMを買って目覚ましのキットにセットしてみたり、とにかく宇宙船だの非常事態といったコンセプトで何かを作るというのが好きなのが高校時代だった。ちなみに上記の3段認証や回転灯がらみの出費は、1回秋葉原に行って5~6万使ったのを覚えている。当時はバイトをしていてお金はあったのだった。

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